今夏の大会・合宿・練習において、様々な感染症に対する感染防止対策に徹底して取り組むことが重要です。
1. 常に気を付けるべきこと
チーム内やチーム間での感染拡大を防ぐために最も重要なことは、感染症を持ち込まないことです。体調の悪いときに無理をして練習や試合に参加することはやめましょう。また、常に手指衛生を心がけ、眼や傷に触れる前、そして練習や試合が終わった後はしっかりと手を洗いましょう。
2. プレーヤー間で広がる可能性のある感染症
(1)呼吸器感染症:インフルエンザや新型コロナウイルス感染症など
(2)消化器感染症:ノロウイルス感染症などの感染性胃腸炎
(3)皮膚感染症:単純ヘルペス(スクラムポックス・ラグビーヘルペス)や膿痂疹、癜風など
(4)その他:B型肝炎など
3. 感染経路と感染対策
●飛沫感染
感染した人からの咳やくしゃみ、大声などによって発生するしぶきを飛沫と呼び、インフルエンザや新型コロナウイルス感染症などの呼吸器感染症は、この飛沫によって感染します。
ミーティングなどではお互いに飛沫が届かない距離(約2m)に離れておくことや、飛沫を遮断するためにマスクを着用すること、部屋の換気をこまめに行うことが大切です。
●接触感染
インフルエンザや新型コロナウイルス感染症は飛沫感染だけでなく、感染者やウイルスに汚染された環境から眼や鼻、口の粘膜を通して感染します。
これらの感染経路を接触感染といい、感染対策として重要なのは、眼や鼻、口の粘膜に触れる前に手洗いやアルコールによって手指についた微生物を取り除くことや、傷口が他のプレーヤーに触れないようにしっかりと保護することです。
これらの感染症はタオルなどを共有することによって間接的に感染しますので、タオルやヘッドギア、ウオーターボトルなどは共有しないようにします。B型肝炎のように血液を介して感染するウイルスもありますから、出血した場合はいったん練習や試合から離れ、しっかりと止血してから参加するようにしましょう。また止血処置をする場合は手袋して対応しましょう。
4. 環境から感染する皮膚感染症
土の中にいる細菌が、練習や試合中にできた傷から感染することもあります。傷口は、水道水で良いのでしっかりと洗浄し、できるだけ早く砂利などの異物はきれいに取り除くことが大切です。ひどく化膿した場合は抗生剤が必要となる場合もあるので、医師の診察を受けてください。
5. ワクチン接種が有効な感染症
以下の感染症はワクチン接種により予防することが出来ます。可能な限り、摂取してください。
(1) 破傷風
(2) B型肝炎
(3) インフルエンザ・新型コロナウイルス感染症
6. マスギャザリング
ワールドカップやオリンピック、パラリンピックのように「一定期間、限定された地域において、同一目的で集合した多人数の集団」をマスギャザリングと呼びます。このような状況では、さまざまな感染症が流行する可能性がありますので、麻疹や風疹、水疱瘡を含め、ワクチンで予防できる感染症はワクチン接種を受けることを検討してください。
7. 感染対策のキーポイント
・咳やくしゃみ時はマスク装着や咳エチケットを守る
・手洗い、うがいをこまめに行う
・出血した場合しっかりと止血する※止血処置は手袋をする
・タオルやヘッドギア、ウオーターボトルなどは共有しない
・ワクチンで予防できる感染症はワクチン接種を受ける
『ラグビー外傷・障害対応マニュアル(2024年版)』P.59-61「ラグビーと感染症」を参照ください。